モノへのこだわりか、モノを身に着ける人も対象か

 

 

水着が妄想材料になっている

「ある特定のモノへのこだわり」はとても多い相談です。
一般に「〇〇フェチ」と言われる性癖ですが、それ自体は特に問題ありません。

何度も書いてきましたが、それが問題になるのは、そのモノへのこだわりが犯罪行為につながる恐れがある場合(幼女が身に着ける衣服を収集したり、使用済みの下着を入手するために洗濯物を盗むなどの行為)です。
また犯罪にはつながらないものの、パートナーがいる方で、パートナーがその趣味に付き合うことを苦痛に感じ拒否した場合もトラブルになるでしょう。

しかし自分の中での趣味にとどめておくのならさほど気にすることもない、というケースも多くあります。
ただ、性に関することは、特に性癖に関しては友人と語り合うことが少ないために基準がわかりません。そのため、自分は異常者なのかと悩むことになります。

Kさん(30歳男性)もそんな1人でした。
相談しながらご自身の気持ちを整理していくうちに「別に問題はないかな」との気づきがありました。
「僕は10代の頃から変なのではないかと悩んできた。もし今同じように悩んでいる若い子がいるとしたら、これくらいは心配しなくてもいいんだよ、と伝えたい」とのことでした。
そこでよくある悩みの一例として挙げさせていただくことにしました。
(個人が特定できないように改変を加えてあります)

 

水着を着ている女性が好き

Kさんは中学生頃からずっと水着を着ている女性が好きでした。
きっかけを思い起こすと、小学生時に通っていたスイミングスクールの女性コーチが素敵な人で憧れを抱いたことのようです。
そのため、興味のある水着は競泳用のものや、当時一緒に泳いでいた子どもたちが着ていたスクール水着です。ビキニや派手な色彩の水着は、嫌いではないもののそれほど見たいとは思わないそうです。
それ以来、マスターベーションの材料は水着の映像が多いとのこと。

こういう話があった場合、私は2つの可能性を考えます。

①水着だけへの興味か、水着を着ている女性に対しても興味があるか

②水着を着ている女性は未成年の子どもに限定されるのか、成人女性も含めた女性全般か

①では、純粋に水着が好きという方がいます。
もちろん水着の妄想の中に女性が全く出てこないというわけではないのですが、実際に女性との交際やセックスをしたいとは思わず、ひたすら妄想のなかで水着を想像するだけで満足というものです。
「水着を着た女性と遊んだりセックスしたいと思うか?」という質問にも、
「いや、全くないですね。誰かと付き合いたいというのがないんです」と言います。

このような妄想優先型では、画像や動画を見るだけの人も、水着を購入してコレクションしたり自分で身に着ける人もいますが、総じて現実の性行為に興味のない、徹底した水着フェチと言えます。

②として、水着というモノだけでなく、それを着ている女性にも興味がある場合には、その対象年齢が問題になります。
低年齢の少女のみと言われると、これはまずいなと私も身構えてしまいますが、
「特にないです。きれいな女性であれば誰でも」と言う人は、その中に多少の若い女性が含まれていたとしても危険はないことが多いように思います。

Kさんの場合、対象年齢が幅広く、女性全体への関心も高いようでした。
また、Kさんには交際を始めたばかりの彼女がいて、まだ海やプールに行ったことはないが、いつか誘ってみたいとの話もありました。
現実に交際ができており、その交際相手に水着を着てもらいたいというのであればごく普通の性的な感情と言えます。
Kさんは、自分が心配するような特殊な性癖ではないだろうと推測できました。

「大人になってからは水着を着ている女性を見る機会がほとんどなくなってしまった。風俗で相手に着てもらったりしてみようかな、と思ったこともある」とのことでした。
「それもいいかも。水着を着ている女性の露出感か、仕草か、自分が何をそこに求めているのかわかるかもしれませんよ」と私も同意しました。

しばらく話しているうちに、Kさんの興味をそそるのは、はおったTシャツの下からお尻だけチラ見えする姿だったり、食い込んだ水着を手で引っ張って直す仕草だったり、腋の下を無防備に晒す様子だったり、と独特の視点からの関心事もあることがわかったのですが、どれもまあ危険ゾーンではないだろうと思われたのでした。

Kさんの場合、女性との交際やセックスへの意欲が満々だったし、その交際の中で相手の女性に水着を着てほしいという欲求は特殊なものではないと感じられました。

人によりファンタジーの程度は様々で、一概にどれがOKでどれがアウト、と判別できるものではないのですが、もし自分のフェチは異常ではないかと不安に感じている方がいたとしたら、まずは犯罪に結びつく危険があるかどうかを第一基準とし、その次には、そのモノにしか関心がないのか、そのモノを身に着けている人間にも興奮するのかを考えてみたらいいのではないかと思います。

 

 

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